ここでは、一般的な「古民家のリノベーションのメリットとデメリット」を元に、木代建築工芸の代表が意見を添えてます。
まず、先に結論をかんたんに申しますと、メリットは以下です。
「価値あるよい木材を継続して利用できる」「趣のある価値観や伝統を引き継げる」です。
デメリットは「気密性や耐震性が劣る」「性能や実用面では現代新築に劣る」となります。
それでは、詳しい内容は下記をご覧ください。
古民家リフォーム、リノベーションの「メリット」
風情ある外観・内装が活かせる
→ 格子戸、欄間、太い梁など、現代住宅では得られない趣が魅力。
木材や建材の質が高いことが多い
→ 昔の職人が使った天然乾燥材や無垢材は今では貴重。
昔の家はシステムキッチンや給湯器などの設備機器はなかったので、柱などの木材に高価なものが使われています。木材には10段階ほどのグレードがあって、よい木材をそのまま再利用できます。
更にいうと100年ほどの実績のある木材を使えるのは大きなメリットです。新品だと耐久性がわからないです。
空き家再生として地域貢献にもつながる
→ 地元の景観・文化を残すことに意義がある。
固定資産税が安いことがある
→ 新築に比べると税負担が抑えられるケースも。
あくまでも可能性です。古いものは評価額が低いです。
古民家リフォーム、リノベーションの「デメリット」
見えない部分に劣化・不具合がある可能性
→ 柱の腐食、シロアリ被害、基礎の老朽化などは着工後に判明することも。
断熱・気密性能が低い
→ 現代的な性能基準に合わせるには大掛かりな工事が必要。
実際に築90年の古民家を参考にしました。昔の部屋は壁が少ないです。戸だらけです。木材は収縮するので乾燥すると隙間が出来ます。
工事費用が予想以上に高くなりやすい
→ 解体・補修・再生に手間がかかるため、追加費用が発生しやすい。
これは古民家だけじゃなく、リフォーム全体でその傾向があります。壊して作るので新築よりも予算はかかります。
現代的な間取りとの両立が難しいことも
→ 広すぎる土間、天井の低さ、段差などをどう活かすかが課題。
上記と同じ理由で、戸が多いと壁が少ない。壁が少ないと家具が置けない、コンセントが無いなどの問題があります。昔と今は生活スタイルが違います。
工事期間が長くなることが多い
→ 状況に応じた柔軟な対応が必要となる。
壊して作るという理由。耐震調査などに時間がかかる。予想外の問題発生に対応が必要な場合があります。
耐震と断熱に難あり
→ 現代は技術向上や、材料の品質が向上しています。
戸が多くて壁が少ないと耐震性が劣ります。壁は耐震強度を維持するのに大事です。土壁や多くの戸は断熱や気密性が劣ります。
古民家リフォームが向いている人
- 伝統的な日本建築の美しさに魅力を感じる方
- 既存の家を活かしながら自分らしい暮らしをしたい方
- 手間や時間がかかっても愛着ある住まいに仕上げたい方
- 地域資源・歴史的建物を活かすことに価値を感じる方
- DIYやセルフリノベにも関心がある方
まとめ、古民家リフォームする際の注意点
構造チェックは必須(耐震・基礎・腐食など)
→ 信頼できる建築士や工務店に詳細な調査を依頼。
さらに安全を求めるなら「既存住宅状況調査技術者 」や「ホームインスペクター 」をご覧ください。
補助金や助成金を確認する
→ 古民家再生に関する制度が地域によって存在する。
ライフスタイルに合う間取りかどうか検討する
→ トイレ・キッチンの配置、冷暖房効率などの視点も大切。
昔と今はライフスタイルや素材や技術が大きく違います。
断熱・気密の改善に力を入れる
→ 現代的な快適性を得るための最重要ポイント。
費用は余裕を持って見積もる
→ 工事中に発見される問題への追加対応が発生しやすい。
リフォーム実績がある工務店・建築士を選ぶ
→ 古民家に精通しているかどうかで仕上がりに大きな差が出る。
古代建築工芸は宮大工の修行や施工実績があります。さらに実際に築90年の古民家を修繕しながら住んでいます。四国中央市の古民家が次の世代に引き継がれるなら、是非お力になりたいと考えております。